「MY WEEK WITH MARILYN」(コリン・クラーク著)を読んでいて、
どうしても観たくなってしまったので、ツタヤで借りる。
上の本は、著者が若かりし頃「王子と踊り子」で第三監督助手を務め、
マリリン・モンローとかりそめの交流をもった一週間の話。
(著者も自覚しているように、スーパースターの私生活の"息抜き"に付き合わされた初心な青年、という関係といったらよさそうではある)
本の中では、
マリリンが演技指導や夫、プロデューサー、それに相手役ローレンス・オリヴィエなど、
周囲のプレッシャーや偏見のまなざしに耐え切れずスタジオに現れなかったり、
薬を飲みすぎては次の日の撮影にも出てこられない、
そんなアメリカのセックス・シンボルに振り回されてうんざりする現場の雰囲気がよく伝わってくる。(著者やジャック・カーディフなど、全面的な"味方"もいるけれど)
でも、同時に誰もが、彼女の言いようのない、でも抗いがたい魅力を確信していた。
その自分を最後まで受け止め切れず、結局周りを振り回してしまうマリリン。
救いがたく魅力的な、正真正銘のスター、その一等星であり続けている。
私がモンローの出演映画(DVDだけど)を観たのは、「お熱いのがお好き」とこれだけ。
観た作品がそうだったからこそ、かもしれないけど、
コメディエンヌとしての彼女はとても光り輝いている。
周りの人間を戸惑わせながら、目を離さずにはいられない存在。
豊満であると同時に、幼児のような印象を持つ。
その行ったり来たりの揺り戻しに、ひきつけられるのかもしれない。
その波を抱えている本人は「孤独」にさいなまれ続けたわけだけど・・・・
少なくとも、この映画の主人公エルシーを演じる彼女は、
天真爛漫で、人の心の機微を知り、愛の素敵さを全身に歌う女性であり、
その最中に、薬に溺れ相手役と信頼関係が築けず、アクションの前に演技指導に自分を
褒め称えてもらえないと立ち位置にもいられない女性だったなんて微塵も感じさせない。
どことなくアイロニーと戦争の影を滲ませる映画の中で、
彼女のきらきらした存在があたたかな余韻になる。
「自分らしくいろ」なんて、一番難しいことだと思う。
言われれば言われるほど、何かに囚われたような息苦しさがつきまとう。
「自分でいる」ということは、ある意味「周りを認める(否定しない)」ことと同じくらい
簡単に吐ける言葉で、なおかつ至難の業なのかもしれない。
しかし、このエルシーがもともとオリヴィエの妻だったヴィヴィアン・リーのための役、
というのが・・・まったく想像できない(笑)
そして、やっぱりローレンス・オリヴィエはほんのり江守徹(笑)
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