彼岸の蓮華、此岸の炎。
2011年6月26日 memo コメント (4)
あの日。
2001年9月11日。
1963年6月11日。
私たちは何を感じることができたのだろう。
その焔と埃と熱風のただ中に、確かにいた者の正体は永遠にとらえられない。
宮内氏はかつて宗教の自由を求めて焼身自殺したベトナム僧「X師」の足跡を追う。
蓮の花、むせかえるようなヒトの匂い。
性欲と聖なるsacrificeと。
X師と、彼をburning service へと向かわせたものを求めて、
炎に導かれる虫のように追い続ける。
X師を知る人はみな口々に「彼はブッタの生まれ変わりだった」という。
だが、人間としての彼は? なぜ人間としての彼を誰も語らないのか?
文章はベトナムの熱と匂いのなかでゆらめいて、現実と幻想の間を行き来する。
けれどこの本のなかではそのどれもが、彼の事実として強烈に入ってくるのだった。
X師の焼身自殺があの日ごうごうと世界を照らし、
ツインタワーの粉塵が彼らの目を曇らせたように。
----
この本で宮内氏の掴みたい「人間」というもの。
ガンジーが老年、裸の女弟子たちを纏い寝ていたように。
一方で、法華経のなかにある献身の修行僧たちのように。
生臭く「正義」も「真実」も溶かしてしまうような人間の本性に、私はたまらなく惹かれる。
2001年9月11日。
1963年6月11日。
私たちは何を感じることができたのだろう。
その焔と埃と熱風のただ中に、確かにいた者の正体は永遠にとらえられない。
宮内氏はかつて宗教の自由を求めて焼身自殺したベトナム僧「X師」の足跡を追う。
蓮の花、むせかえるようなヒトの匂い。
性欲と聖なるsacrificeと。
X師と、彼をburning service へと向かわせたものを求めて、
炎に導かれる虫のように追い続ける。
X師を知る人はみな口々に「彼はブッタの生まれ変わりだった」という。
だが、人間としての彼は? なぜ人間としての彼を誰も語らないのか?
文章はベトナムの熱と匂いのなかでゆらめいて、現実と幻想の間を行き来する。
けれどこの本のなかではそのどれもが、彼の事実として強烈に入ってくるのだった。
X師の焼身自殺があの日ごうごうと世界を照らし、
ツインタワーの粉塵が彼らの目を曇らせたように。
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この本で宮内氏の掴みたい「人間」というもの。
ガンジーが老年、裸の女弟子たちを纏い寝ていたように。
一方で、法華経のなかにある献身の修行僧たちのように。
生臭く「正義」も「真実」も溶かしてしまうような人間の本性に、私はたまらなく惹かれる。
コメント
中学だったか高校だったか・・・焼身自殺した僧侶の。
なぜあんなことをしたのか?
それで何が変わるというのか?
なんとなく心の底にひっかかっていたのを思い出しました。
今読んでる本が終わったら、読んでみます。
いつも面白そうな本の紹介、ありがとう!
「なぜ」という問いに対して、”本当の真実”が明らかになることはないんです。
それは、ある人々が口をつぐみ、別の人々が本当ではない言葉で飾っていくからでもあり、”本当の真実”なんてこの世に無いから、とも言えると思います。
この本のなかで、
宮内氏が見た「X師の肖像」は幻想と現実の往還を繰り返すけれど、
それでも、私はそれに「違う」ということはできないのです。
お時間あったらよんでみてくださいましー!
読みました。
面白かったです。
一方に宗教があり、もう一方に社会主義国家・ベトナムという存在があり、
その軋轢の間で、一人の人間の意志・行為が書き換えられ、ゆっくりと風化していくさま。
それがラスト近くに描かれているアンコール・ワットの残像と重なっていきました。
旺盛で容赦ない緑にじわじわと侵食され、絞め殺されていく古代の信仰のかたち。
それがまた、宮内氏自身の内面世界の象徴でもあるように思えて。
熱い国の気だるく淀んだ空気や匂い、鮮やか過ぎる色彩。
それらの渾然一体となった姿に圧倒されました。
夢にでてきそうです(笑)
>宮内氏が見た「X師の肖像」は幻想と現実の往還を繰り返すけれど、
>それでも、私はそれに「違う」ということはできないのです。
そうですよね。
信実はそれぞれの人の中にあり、とりわけ過去に関して、ある人の中に生まれたそれを
「違う」と他人が否定できるものでもない。
それぞれの人の内部にそれぞれのX師が存在しているのと同じように・・・。
ザ・不義理女が通りますぜ(-o-;)
レス遅くなりましたー;
おもしろく読んでいただけたみたいでホッ(*^_^*)
私は真実なんてこの世に1つしかないと思ってるような物騒な人間なのでv 逆に信実を真実として追い求める人の姿にある意味すごく目が奪われるのです。
血の池に咲く蓮の花。
宮内さんが自覚しながらとりつかれたように師の姿を求めて通った道も、また血と泥と欲望の匂いが漂っていたように思います。