少し前にニュースで話題になっていた「devil’s tangue」。

「コンニャクの花」の方が耳馴染みはいいけれど、その姿はあまりに奇態だ。
咲くまでに4年を要し、一度披けば腐敗臭を漂わせる。

ニュースの画面では、物珍しさに花を近づけた瞬間に眉を顰めたおっさんがえづいてた。


その光景を他人事のように見て、すぐ思い出した桐野夏生の「グロテスク」。

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女性殺害事件。

一流企業に副室長として勤めていたキャリア・ウーマンの彼女は、しかし安い売春婦としてゴミのように絞殺されたのだ。

その犯人は、それ以前にも一人の女性を殺害していた。
恐怖的な美貌をもって‘いた’「ユリコ」。

そして、彼女の姉と友人ミツル。


彼女たちは全員、小さく固く閉じた階級社会‐「Q女子高」に通っていた。
この過酷な環境に対応していくために、彼女たちはそれぞれの武器を磨いた。

ある者は学力を、ある者は努力を、そしてある者は悪意を。
まるで植物の進化のように研ぎ澄ましていったのだ。

はたして矮小で特異な環境から社会という原野に出る時に、彼女たちがとった「進化」はその奇態を浮き彫りにするばかりだった。

そのグロテスクな「進化」。


真実も事実も歪む彼らの独白が放つ毒気に中られて、ただただ読み進めてしまうのだ。

コメント

HT
2010年8月9日14:41

「私の花壇にラフレシア」←このタイトルサイコー☆

こんにゃくの花もラフレシアも姿は違えど、ハエさんを媒介に受粉するとこは同じですネ。
匂いマニアとしては・・・どんなにヘンタイと言われようが嗅いでみたい・・・。
紹介されてる本も面白そうだ。
いっぱい時間が欲しい~(つД`)・゜・

konynon
2010年8月10日23:56

>HTさま

こんばんは!
この題はね…本を読めば分かっていただけると思うのですけれど…(笑)

HTさまも書かれていたように、「生きるために」必死に進化していったがゆえの異様さは、そりゃー「観賞」では逆のベクトルを際立たせるばかりです。

そこそこ厚みはありますけれど、でもとても面白くて読まされてしまうので是非。
ただ、あんまり毒をくらいすぎてグッタリしてます(笑)

HT
2010年8月14日22:45

読みました。
・・・・・・・・・こえ~(´д`;)
これは女性作家さんにしか描き出せない地獄絵図でやんすね。
こういう世界には無縁な人生を歩んできたw自分でもついつい「どれが私だろう?」と。
そう思わせ、なぜか読みながら焦ってしまいました。そんだけリアル。
だがしかし。
頭脳も悪意も図太さも、全ては生まれついての美徳=圧倒的な「美」の前には無力だと。
そう言いたげな最終章も、とてもとても女性的で。
カタストロフィのない疲労感がいつまでも残りそうでした。

ううむ。
やっぱ凄い(((( ;゚д゚))))

HT
2010年8月14日22:51

大事なことをつけたしわすれておりました。

・・・やっぱ永遠の乙女ってコワイっすね(つД`)・゜・

konynon
2010年8月16日15:44

>HTさま

ね〜…めっちゃ怖いっす…

情け容赦なく抉り出すような筆致だから、読んでいるこちら側のダメージもかなり凄まじくて…

逆に男の人が読んだ感想も聞きたくなってしまうけれど、私だったら一時女性恐怖症になってしまいそう…(笑)

何を隠そう、私の乙女嫌いに決定的な打撃と拍車をもたらしたのがこの本との出会いなのですよ♪

まじでこぇぇ(°д°;;)