冷たい雨。
杏露酒を飲んで口の中に黄金の油をさす。
やはり母の仕込んでいたかりん酒に似ていた。薬のような後味では一寸後ろめたくて気楽に酔えないのは、気のせいだろうか。
なぜだかゴッホの「アーモンドの花」を思いだす。不気味なほど隆々とした枝ぶりと偏執的な青空とともに。



「夜の樹」カポーティ読了。
 如何にも村上春樹が好みそうな世界、なんて独りごちていたら、「ティファニーで朝食を」は村上訳があって「…」な気分に。

村上さんの魅力は、もしかしたら彼の訳書にこそわかりやすく在るのかもしれない。
例えば、村上世界の「蓄音機」は、くたびれた針と金属と木材とニスで出来ているのではなくて、それを構成する言葉によってのみ形を保っているのだろうから。
もし「蓄音機」が闖入者Xによって破壊されたとしても、それは蓄音機が破壊されてその機能を"殺された"のではなくて、どちらかというと言葉として認知できなくなったことで「生」が確認できなくなることへの理解を絶えず読者に請求する。
(と、少し村上チックに)

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雨の日はろくなことを思いださないけど。

昔々、「きむたくって生きずらそう」と思ったことを、思い出した。
そして、キムタク嫌いの(ジャニーズ系が好きだった、と思う)女の子が「だって、キムタクって自分のこと好きそうなんだもん」と言ったのに対して「芸能人なんだからそこは自信もってもらわないと。ていうか、自己愛もある程度大切だっしょ」とへそ曲がりにも思ったことも。(昔から暇だったんだね…)

あと、樹のにおいがしそうなひとだなぁという印象があったと思う。なんでだろ。謎。

凄く曖昧な記憶だけど。

生きずらそう、と何故思ったのか、思いだせたような。
確か、映像だった。光を浴びてこちらをまっすぐ斜に構えて見据える(変な表現やな…)眼が、「どんなに光を浴びても、足の裏は玄いんだよ」と言ってるような気がして、しかもそれが一瞬の表現だけではなくて、彼自身のメッセージのようにも見えて。捏造記憶かな…なんだろ…?

今はそんなこと、(隠し遂せるのが御上手になったのか?)あまり素振りも見せないし、見られるとしてもそれは作品で観たいと思う。
そして倒錯的なことに、そういう作品のなかの木村さんがもっと観たいのです(笑)

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MAYUKOさま

私は、「松たか子」という人は、どうしても「女優」というより「俳優」か「役者」という見方をしてしまいます。
女を生業とし、武器にするというより、「演じる」ことのなかに「女性」というカテゴリがあるというか…例え「少年」を演じることになったとしてもそこに「松たか子」がちゃんと無理なくあるというか…そもそも、女優というのはそういうモノなのでしょうか?(笑)
とはいえ、そういうことをにっぶ~い私にさえ思わせてくれるということ自体、その希有な才能の証明になっているのでしょうけれど(笑)







コメント

nophoto
HT
2010年2月13日23:35

上春樹は高校生~大学生の頃好きで読んでました。
今思えば、独特の語感や行間に流れる空気感、みたいなのが好きだったのかも。
登場人物にちゃんとした名前がないとこなんかもポイントだったりしました(笑)
で、「ノルウェイの森」は、周りのほぼ皆が感動してたんですが、読み終わった瞬間、自分の中で
「村上春樹はもういいや。」と、なぜかそう思ったことを覚えてます・・・。

>「どんなに光を浴びても、足の裏は玄いんだよ」

すごい表現!
私もそんな作品の中での彼を切望します。
言葉でなくね、その感じを、体で表現するとこが見たいですよね・・・。
木村さんって、役柄によって匂いも変わる気がします。
本当は画面の向こう側に存在してるから匂いなんかわかんないはずなんですけど・・・。
見てる側の視覚だけでなく、五感を刺激する人なのかもしれないですね。

そうそう。
「キムタクってさぁ~。」とどっかで聞いたような言葉で批判する人ってなぜかジャニーズ系好きが多いですよねw 
あれは不思議だ。

konynon
2010年2月15日2:09

>HTさま

こんばんは!遅くなってしまってごめんなさい(><)
実家は中々pcが使えなくて…

村上春樹は、「好き」ではありませんが読んでいます(笑)
漂泊する自己観念、雰囲気、それらすべてを言葉で(いちど読者にも解るように分解したうえで)世界を再構築する試みが彼の思想とリンクしているところ、さらにいえばそういうものを描き出そうとするときに、それをわざわざ文字で直截することがないところ、なんかは興味深いですね。
彼独自の品があって、決して下種にならないところは別の意味で面白い、かな。


「愛しています」を伝えるのに、ト書きで「愛しています」とするのはあんまりにもあんまりにも、って感じですけど(笑)
「あなたを愛している」のか、「あなたを愛している状態」を告白するのか、はたまた恋わずらいを打ち明けるのか。

微に入り細に入りな違いに至るまで、「言葉なしでも」似非ドキュメンタリーを観ているような感情に視聴者ごと引き込む力and そのactionとなると、群を抜いてると思うんですけどもね~(笑)ふっふっふ…